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学校訪問記 Vol. 01 横浜市立旭中学校

2007年11月02日(金)「横浜市立旭中学校」

旭中学校の皆さんと心の宅急便メンバー

「旭中学校の皆さんと心の宅急便メンバー」

旭区の自然環境に恵まれた閑静な住宅の中心に位置する生徒数288名の中学校。バスケット、サッカー、バトミントン、吹奏楽部と各部活が各種コンクール・全国大会で優勝、金賞を重ねてきている活発な中学校。それが訪れる前に得た資料だった。

そうそう、大事なことがもう一つ!私が信頼し尊敬する都岡中学・古川三千代校長先生が「私が一番信頼し尊敬する校長先生の学校です」という情報だ。この「心の宅急便」を中心になって推進してくださっている古川先生の呼びかけに「最初に我が校で!」と手を挙げてくださった校長先生である。

公演一ヵ月半前の9月半ば、打ち合わせで私を迎えてくださったのは佐々木早苗校長先生と佐々木シスターズともいうべきPTA会長近村純子さん、副会長の今井広子さんだった。 男性も適わないようなスーパーウーマン古川先生をして「お手本です」と言わしめる佐々木早苗先生は、思いもかけずおっとりとした口調と柔らかな美しい笑顔が相手を包み込むような女性校長先生だった。

「ホッとしました。近づき難い、ちょっと怖くて偉い校長先生をイメージしていたので。。、」と思わず本音をポロリの私に佐々木先生は言った。「私、偉くなんかないですよー。みんなに助けられて学校やってます。特にこのお二人、PTA会長、副会長のお二人がご自分の時間を惜しみなく学校のために使ってくださって。PTAの皆さんもこのお二人にならとついてくる。そしてみんなで教職員を助けてくださる。。。だから私は子供たちのことだけ考えていればよかったんです」

そんな佐々木校長を近村さん、今井さんのお二人が、大好きな尊敬する長女を見るように、”この人のためなら何だってスルゾ!”とでも言うように微笑みながらしっかりと見詰めていた。

旭中の校門を入ったとたん気がつくのは美しい花々である。清潔な廊下である。明るい礼儀正しい生徒の笑顔である。「この学校は”心の宅急便”が必要ない学校かもしれませんね」と言った私に佐々木先生はこう答えた。

「私が赴任してきた時は色々問題がありました。教室に入らない子がいたし、いじめもありました。今、全てが無くなったとは言いません。でも 子供たちも先生もそしてPTAの方々のお力でこの学校はいい形になってきていると思います。だからこそここで手を抜かず”心の宅急便”が必要なんです」美しい花々は飼育園芸部の生徒たちとその顧問そして用務員さんが責任を持って育てているという。

「昔は花を引き抜いたり折ったりする子もいました。今は美しい花を「きれいだね」と育ててくれた人に感謝できる子がほとんどになりました。」教室に入らない子を教師が廊下で仁王立ちになって見張ることを止め、廊下にベンチを置いて教師が本など読んで腰掛けるようにしたら 「先生、何読んでるの?」と生徒たちが向こうから自然に近づいてくるようになったという。

「全てが一斉にうまく行くことはありません。急カーブをきらないように「自分の子供を通わせたい学校作りを合い言葉に全職員で生徒の心に寄り添うことを心がけてきました。私も全校生徒一人一人との面談をしています」という佐々木先生。「すると安心して少しずつ生徒が本音を言えるようになってきました。地域の方のご指導で描いた絵手紙が廊下に飾ってありました。

それは自分の心を素直に表現した生徒の作品でした。「友達にならない?」と大きなタイトル字があった。「どこでかけられたかは覚えてないけれど一年くらい日が経った今でもこのあたたかい言葉は心に響いて私から離れることはない。あのとき、私は「いいよ」ってかんたんにサラリと言ったけれど、本当はすっごくうれしかったんだ。いじめにあってから三年間、こんなにうれしいことはなかった。

今私はこの花みたいにずっと春を感じているよ。こんなふうになれたのも君のおかげだ。本当にありがとう」真ん中に菜の花だろうか?黄色の花が真っ直ぐに明るく上に向かって咲いていた。この絵手紙を書いた子の心のままのように。

私はこの絵手紙を見て涙がこぼれた。そうだよ。この絵手紙の中にある「友達になろうよ」と言える勇気のある子を一人でも多く育てること、それが私たち大人の務めなのだ。私が「心の宅急便」を始めたいと思ったことの原点がここにある。

朝の10時半から2時まで、時間の過ぎることも忘れて私は佐々木校長先生と近村さん今井さんの三人と語り合った。心の中に温かいものが満ちてくる時間だった。帰りに旭中が育てて作ったという美味しい梅干をいただいて帰宅した。

11月2日当日、「心の宅急便」スタッフ四名は学校に着いて舞台を見て思わず息を呑んだ。「心の宅急便 朗読・講演」と書いた見事な書のタイトル看板が舞台中央に飾られ、そしてその下に白い小窓から外を眺めている女の子の絵があった。舞台両脇には白い鳩を飛ばす女の子が描かれていた。なんて素敵で可愛らしいんだろう!「PTAの方が描いてくれたんです」誇らしそうに 嬉しそうに佐々木校長が微笑んだ。

近村さん、今井さん以外にもPTAのお母さん方が6,7名お手伝いに参加してくれている。皆 和気合いあいとして楽しげに参加している。普段の旭中学の姿がここに見えてくる。旭中の先生方も副校長先生をはじめとしてスクリーン操作を手伝ってくださる先生、荷物を運んでくださる先生、段取りを進行してくださる先生、みんな若々しく素敵な方々ばかりである。

午後の5時限目、生徒たちが入場して公演が始まった。初めての「心の宅急便」、初めての中学生相手の朗読公演に講演。どのくらい聴いてもらえるのか、どのくらい子供たちの心に私の伝えたい声が届くのか分からない。だが、真剣に聞いてくれている子供たちの表情に私は熱い手ごたえを感じていた。

舞台では、朗読の最中に華麗な卑弥呼さんの踊りや演奏にうっかり見惚れてあやうく自分の出を忘れかけたりする一幕もあったが、旭中の温かさに支えられての初回は「最高の幸福」を味あわせていただいた舞台だった。三日後、佐々木先生から全校生徒のアンケートが届いた。「子供たちの心に 確かに心の宅急便は届いてました」という佐々木先生のお手紙を読み、そして子供たちの素直な感想、熱い感動の声を読みながら、私の頬も濡れていた。

旭中の皆さん、そして生徒たち、大きな力をありがとう!

横浜市立旭中学校の公式サイト

                                                                                                                         
 
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