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学校訪問記 Vol. 02 横浜市日吉台西中学校

2007年11月29日(木)「横浜市立日吉台西中学校」

横浜市立日吉台西中学校の皆さんと心の宅急便メンバー

「横浜市立日吉台西中学校の皆さんと心の宅急便メンバー」
心の宅急便のメンバーと、日吉台西中学校の先生方

東横線綱島駅と日吉駅の中間、通称『森戸ケ原』と呼ばれる台地上にある横浜市立日吉台西中学校は、生徒数409名を擁する創立30周年を迎えた学校である。

住宅街の中にあるせいか生徒の家庭環境も似通っている。部活や歌声コンクールは盛んだが、ギンギンにならないおっとりした性格というか校風、そして進学率のよさから地元では冗談に「日吉の学習院??」などとささやかれている。

なんでそんなことを知っているかって? 実は私の娘は二人ともこの学校の卒業生なのだ。十数年ぶりに訪れた娘たちの母校はまるで時が止まったみたいに昔のままだ。校内が荒れていないせいだろうか?校舎も校庭も昔のままだ。なんだか懐かしい。。。。

昨年4月に着任なさった織茂篤史校長先生は地元で生まれ育った日吉っ子。この土地への愛着と愛情は人一倍ある。当然、日吉台西中への思い入れも愛情も半端ではない。

「いやー、この学校、可愛いですよ。一年経ちましたが素晴らしいとつくづく思います。そりゃあ、公立校ですから色々いますよ。服装やヘヤースタイルがはみ出しちゃう子もいます。そんな子と一緒にしないでくれと言う親もたまにはいます。でもね、ここは公立校です。僕は誰だって受け入れます。姿形で差別はしません。誰一人排除はしません。どんな生徒も我が校の生徒です!」 気さくな笑顔の中の織茂校長の大きな目が最後の言葉でギュッと力強く光った。

公演前の校長室でそんなことを語り合っている時にふと気がついた。「あれ?もうお昼休みの時間なのにチャイムが鳴らない」「そうなんですよ」得たりとばかりに織茂先生は身を乗り出す。「この学校は7年前からチャイムなしなんです」

それは一人一人の自主性と自己管理を高めるためなのだそうだ。最初は随分多くの学校が「チャイムなし」を取り入れていたそうだ。だが今では横浜の中学145校のうち続いているのは2,3校だけだそうである。

「我が校も段々時間の境界線が崩れてきて チャイムなしを止めようか。。と弱気になったこともありました。でもね、せっかくここまで続いているのだから頑張ってみようかなーと思います」少年のように織茂先生の顔がはにかんだ。

午前中の体育館の授業が終わったので、私たち「心の宅急便」のスタッフは豆紙人形の展示準備等に体育館に向かおうとした。そこへ副校長の白倉晶子先生からの電話が入った。

「ムトーさん、ヘリウムガス、やっと手に入れました!赤い風船も!」息せき切った先生の声が電話口から響いてくる。学校で用意して頂く物の中に舞台で使う風船を膨らますヘリウムガスがある。私の事前の伝え方が足らず普通の風船を膨らます器具しか西中に無いことが分かった途端、「私、ひとっ走り東急ハンズに行って仕入れてきます。公演前までには帰ってきます」と脱兎のごとく白倉先生は校長室を飛び出したのだ。相変わらず「行動力の人」である。

なんと言うご縁か、白倉先生は上の娘がここの生徒だった時代の担任の先生だったのだ。 てきぱきとしてさっぱりした性格の優秀な国語の先生であった。15年前の3月までこの学校で10年間教鞭をふるい、そして他校に転任し、今春4月に副校長として再転任して来られたそうである。

「この学校の生き字引のような存在ですからね。分からないことがある時は助かります」校長室を飛び出した白倉先生の背中を見ながら織茂先生が頼もしげに目を細めた。

体育館に準備が整うと、生徒が並んで続々やってきた。この寒い冬場に大変だが、私の提案で生徒たちは椅子ではなく床に座ってもらうことにした。「手のひらのしあわせ」の朗読の前にレインステイック奏者の卑弥呼さんに踊りながら舞台に上がってきてもらう。

体育館の最後尾から卑弥呼さんが生徒の真ん中を踊りながら駆け抜ける時、視線が低い方が彼女の姿がよく見える。音も頭の上のほうから降ってくる感じになる。卑弥呼さんはどこか人間離れした美しい女の子だから 間近に顔を見上げながら演奏を聴いた方が生徒たちはきっと喜ぶだろう。。。と思って提案したのだ。

狙いは的中!公演が終わった時は男子生徒も女子生徒も「卑弥呼さん、綺麗!」と目がハートになっていた。いや、生徒だけじゃなく男の先生たちもかな?この「心の宅急便」の担当を受け持ってくださっている英語の高安睦美先生も「男子生徒がもう喜んで 喜んで!」と笑っていた。

「今の子どもたちは時代のせいでしょうか?心や言葉が昔よりとがっているような気がするのです」と心配していた高安先生だが、この素直な子どもたちの反応には思わず笑みがこぼれている。

「それに嬉しいことに公演が終わった後、先生―!よかったヨー!と女の子が二人駆け寄ってきてくれたんです。いつも消極的で真ん中に入れないでいる子たちで気になっていたんですが、ムトーさんのお嬢さんのいじめを乗り越えたお話は、あの子たちにはとても勇気をくれたみたいで。。。。」

高安先生のやさしい目が眼鏡の下で心なし潤んでいる。生徒と一緒に喜び、生徒と一緒に悲しむ、それはいつも生徒目線で接していないとできないことである。この「心の宅急便」をやっている醍醐味は、そんな先生方に現場で触れ合えることだ。

「歌いっぱい」「花いっぱい」「笑顔いっぱい」、それが日吉台西中のスローガンだそうだ。 頑張れ 日吉台西中!真剣に話を聞いてくれてありがとう!大きな元気な拍手を
ありがとう!

機会があったら 又 会おうね!

横浜市日吉台西中学校の公式サイト


                                                                                                                         
 
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